TOEFL ITP とは:試験形式、スコアの見方、iBTとの違いを徹底解説
Key Takeaways
- TOEFL ITPはETSが開発した団体向け英語能力テストで、50か国以上の2,500を超える教育機関で実施されています。リスニング、文法・語法、リーディングの3セクション・全140問を115分で解答します。Level 1のスコアは310〜677で、CEFRのA2からC1に対応します。TOEFL iBTとは異なり、個人での申し込みはできず、所属する教育機関を通じて受験します。

TOEFL ITP(Institutional Testing Program)は、世界で最も広く実施されている英語能力テストのひとつですが、その詳細を知らない受験者も少なくありません。50か国以上の2,500を超える教育機関がTOEFL ITPを活用し、語学プログラムへのクラス分け、学習進捗の測定、卒業要件としての英語力の確認に利用しています(ETS)。大学や勤務先からTOEFL ITPのスコアを求められている方に向けて、このガイドでは試験形式、スコアの仕組み、Level 1とLevel 2の違い、そしてTOEFL iBTとの比較まで、必要な情報をすべてお伝えします。
要点まとめ
- TOEFL ITPは3セクション(リスニング、文法・語法、リーディング)で構成され、全140問を115分で解答します。
- Level 1のTOEFL ITPスコアは310〜677で、CEFRのA2からC1に対応します。認定証にはGold、Silver、Bronze、Recognitionの4段階があります。
- TOEFL iBTとは異なり、ITPは個人での申し込みができません。所属する教育機関が日程を決めて実施します。
- TOEFL ITPスコアの有効期限は2年間です。クラス分け、学習進捗の確認、卒業要件など、教育機関の目的で利用されます。
- TOEFL ITP対策では、文法規則、学術的な文章の速読力、音声を聴きながらのメモ取りに重点を置きましょう。
TOEFL ITPとは何か
TOEFL ITPは、ETS(Educational Testing Service)が教育機関向けに開発した英語能力テストです。大学、政府機関、語学プログラムが、学生のアカデミック英語力を測定するために実施します。紙ベースとデジタルの両方の形式で受験できます。
他のTOEFL製品との最大の違いは「団体向け(institutional)」という点です。ETSのウェブサイトから個人で申し込むことはできません。大学や所属機関がテスト教材を一括購入し、自ら実施します。そのため、教育機関が費用を抑えられるぶん、TOEFL iBTと比べて受験料が低く設定されています。
TOEFL ITPが測定するのは受容スキル(receptive skills)のみで、リスニングとリーディングに加えて文法・文構造の知識を問います。標準テストにスピーキングやライティングのセクションはありません。ただし、ETSは現在、AI採点による即時結果が得られるオプションのTOEFL ITPスピーキングテストも提供しています。
すべてのTOEFL製品の概要とそれぞれの位置づけについては、TOEFL iBT 2026 完全ガイドをご覧ください。
TOEFL ITPの試験形式
TOEFL ITP Level 1は、3つのセクションにわたる140問の多肢選択式(multiple-choice)で構成されます。試験時間は約115分です。すべての問題に4つの選択肢があります。
リスニングセクションの構成
リスニングセクションは50問、制限時間は35分です。短い会話、やや長い会話、学術的な講義の音声が再生されます。各音声は1回だけ再生されます。巻き戻しや一時停止はできません。
このセクションでは、話の主旨、裏付けとなる詳細、話者の意図、暗示された意味を英語の音声から理解する力が問われます。音声のテーマは日常的なキャンパスでの場面から学術的な講義まで多岐にわたります。
試験前にリスニング力を磨きたい方は、予測的リスニングやメモ取りのフレームワークなどのテクニックを紹介したTOEFLリスニング対策ガイドをご確認ください。また、無料のListen and Choose a Response問題で音声形式を体験することもできます。
文法・語法セクションの内容
文法・語法セクション(Structure and Written Expression)は40問、制限時間は25分です。2つのパートに分かれています。
- Structure(問題1〜15): 4つの選択肢から文法的に正しい語句を選び、文を完成させます。
- Written Expression(問題16〜40): 下線が引かれた語句の中から文法的な誤りを含むものを見つけます。
このセクションでは英文法の知識が重点的に問われます。主語と動詞の一致、動詞の時制、代名詞の照応、語順、並列構造、接続詞など、文の構造に関する体系的な理解が得点につながります。
このセクションに関連する文法練習には、頻出パターンを網羅したTOEFL文法ガイドが役立ちます。無料のComplete the Words問題で、制限時間内に文レベルの文法問題を解く練習もできます。
リーディングセクションの仕組み
リーディングセクションは50問、制限時間は55分です。いくつかの学術的な文章を読み、それぞれについて設問に答えます。テーマは自然科学、社会科学、人文科学、一般的な学術分野から出題されます。
主旨の把握、特定の情報の探索、推論、文脈からの語彙理解、筆者の意図や論調の読み取りが求められます。
読解スピードと理解力を高める方法については、TOEFLリーディング対策ガイドをご覧ください。無料のRead an Academic Passage問題でご自身のアプローチを試すこともできます。
TOEFL ITP Level 1 試験形式まとめ
| セクション | 問題数 | 時間 | 測定スキル |
|---|---|---|---|
| リスニング | 50 | 35分 | 主旨、詳細、話者の意図 |
| 文法・語法 | 40 | 25分 | 文法、文構造 |
| リーディング | 50 | 55分 | 主旨、推論、語彙 |
| 合計 | 140 | 115分 |
TOEFL ITPスコアの仕組み
TOEFL ITPでは換算スコア方式を採用しています。正答数(素点)がセクションごとの換算スコアに変換され、3セクションの換算スコアを合計して総合スコアが算出されます。
TOEFL ITPスコアの範囲
Level 1では、各セクションのスコアは31〜68です。総合スコアは310〜677となります。誤答による減点はないため、わからない問題でも必ず解答しましょう。
Level 2の総合スコアは200〜500です。
TOEFL ITPスコアとCEFRレベルの対応
ETSは、TOEFL ITP Level 1のスコアをヨーロッパ言語共通参照枠(CEFR)に対応させるマッピング調査を実施しています。CEFRはヨーロッパを中心に世界的に広まっている語学力の国際基準です。
| CEFRレベル | 認定証ティア | 総合スコア(Level 1) | リスニング | 文法・語法 | リーディング |
|---|---|---|---|---|---|
| C1(上級) | Gold | 620〜677 | 62以上 | 64以上 | 60以上 |
| B2(中上級) | Silver | 543〜619 | 55以上 | 53以上 | 55以上 |
| B1(中級) | Bronze | 433〜542 | 46以上 | 43以上 | 41以上 |
| A2(初級) | Recognition | 343〜432 | 38以上 | 32以上 | 33以上 |
認定証のティア名(Gold、Silver、Bronze、Recognition)は、教育機関がスコアレポートとあわせて発行できるTOEFL ITP公式認定証に記載されます。多くの大学は卒業要件としてB1(Bronze)以上を設定しており、競争率の高いプログラムではB2(Silver)以上を求めることもあります。
各スコアレベルが大学の要件とどう結びつくかについて詳しくは、TOEFLスコア要件ガイドをご確認ください。
TOEFL ITPスコアの有効期限
TOEFL ITPスコアレポートの有効期限は、受験日から2年間です(ETS)。語学力は時間とともに大きく変化しうるため、2年を過ぎるとスコアは失効します。所属先のプログラムや雇用主が最新のスコアを求めている場合は、再受験が必要です。
TOEFL全製品のスコア有効期限の詳細は、TOEFLスコア有効期限ガイドをご覧ください。
Level 1とLevel 2の違い
TOEFL ITPには、異なる習熟度レベルに対応した2つのレベルがあります。
Level 1は標準テストです。A2からC1までの幅広い習熟度をカバーし、スコアは310〜677です。大半の大学や教育機関がLevel 1を実施しています。
Level 2は、初級から中級の学習者向けに設計された短めのテストです。A2からB1の範囲を対象とし、スコアは200〜500です。問題数が少なく、文章や音声の言語もやさしくなっています。教育機関はLevel 2を、基礎英語コースへの配置や、Level 1では難しすぎる学習者のために利用するのが一般的です。
| 項目 | Level 1 | Level 2 |
|---|---|---|
| スコア範囲 | 310〜677 | 200〜500 |
| CEFR対応 | A2〜C1 | A2〜B1 |
| 難易度 | 中級〜上級 | 初級〜中級 |
| 主な用途 | 大学入学・卒業要件 | 初級コースへの配置 |
どちらのレベルを受けるかわからない場合は、所属機関に確認しましょう。ほとんどの大学ではLevel 1が標準です。
TOEFL ITPとTOEFL iBTの比較
TOEFL ITPとTOEFL iBTはどちらもETSが作成していますが、目的と形式が異なります。所属機関がどちらを求めているかを把握するために、違いを理解しておきましょう。
| 項目 | TOEFL ITP | TOEFL iBT |
|---|---|---|
| 形式 | 紙ベースまたはデジタル(団体実施) | インターネット形式(テストセンターまたは自宅) |
| セクション | リスニング、文法・語法、リーディング | リーディング、リスニング、スピーキング、ライティング |
| スピーキング・ライティング | なし(オプションでスピーキング追加可) | あり |
| 試験時間 | 約115分 | 約2時間 |
| スコア範囲 | 310〜677(Level 1) | 各セクション6〜30 |
| 申し込み方法 | 所属機関を通じてのみ | ETSから個人で登録 |
| 費用 | 低め(機関が設定、一般的に25〜50ドル) | 高め(地域により約200〜245ドル) |
| スコア有効期限 | 2年 | 2年 |
| 用途 | 教育機関内の目的(配置、卒業要件) | 世界中の大学入試、移民申請 |
| スコア送付 | 教育機関に直接送付 | 最大4機関まで無料送付 |
最も重要な違いは認知度と受け入れ範囲です。TOEFL iBTは150か国以上、12,000以上の教育機関が大学入試や移民手続きで認めています。TOEFL ITPは実施機関内での利用に限られます。海外の大学への出願やビザ申請でスコアが必要な場合は、ほぼ間違いなくTOEFL iBTが必要です。
TOEFL iBTと他の主要な英語テストとの詳しい比較については、TOEFL vs IELTS比較ガイドをご覧ください。
TOEFL ITPはどのような人に適しているか
TOEFL ITPは、以下のような状況で適切な選択肢となります。
- 大学でのクラス分け: 大学が語学コースのレベル分けのために英語テストを実施している場合。
- 卒業要件: 卒業に英語力の証明が求められ、所属機関がITPを採用・実施している場合。
- 学習進捗の測定: 語学プログラムが1学期または1学年の成長を測るためにITPを利用している場合。
- 奨学金の申請: 一部の奨学金プログラムがTOEFL ITPスコアを英語力の根拠として認めている場合。
- TOEFL iBTの準備: iBTの受験前に、よりプレッシャーの少ない環境で実力を確認するためにITPを受ける場合。
海外の大学入試や移民申請に使える国際的なスコアが必要な場合、TOEFL ITPは適していません。そうした目的にはTOEFL iBTまたはIELTSを受験しましょう。
TOEFL ITPの申し込み方法
TOEFL ITPはETSのウェブサイトや公開テストセンターからは申し込めません。登録は所属機関を通じて行います。
- 所属する大学やプログラムに確認する。 TOEFL ITPを実施しているか、次回の試験日はいつかを問い合わせましょう。
- 機関を通じて登録する。 大学の語学センター、試験事務局、または学部が登録と支払いを管理します。
- 受験料を支払う。 費用は機関によって異なりますが、一般的に25〜50ドルで、TOEFL iBTよりも大幅に安くなっています。
- キャンパスで受験する。 指定された日にちに所属機関で受験します。有効な顔写真付き身分証明書を持参してください。
スコアレポートは教育機関に直接送付されます。受験者はETSからではなく、所属する学校を通じてスコアを受け取ります。
TOEFL iBTの受験登録、試験日、費用については、TOEFL試験日程ガイドとTOEFL受験料ガイドをご覧ください。
TOEFL ITPの対策方法
TOEFL ITPはリスニング、文法、リーディングのみを問い、スピーキングやライティングは含まれません。この3つの分野に集中して準備しましょう。
リスニングセクションの効果的な勉強法
英語のアカデミックな音声を毎日聴く習慣をつけましょう。大学の講義、TED Talks、教育系ポッドキャストは、テストで求められるリスニングの持久力を養うのに最適です。試験中は音声の再生ができないため、聴きながらメモを取る練習を重ねてください。
各音声の最初の30秒以内に主旨をつかむことを意識しましょう。however、therefore、in contrastなど、話者の議論の転換を示す接続表現に注意を払うことが大切です。
文法・語法セクションの勉強法
文法・語法セクションでは、体系的な文法学習が得点に直結します。以下の頻出テーマを中心に復習しましょう。
- 複雑な主語における主語と動詞の一致
- 節をまたぐ動詞時制の一貫性
- 関係詞節(who、which、that、where)
- リストや比較における並列構造
- 可算名詞・不可算名詞と冠詞(a、an、the)の使い分け
- 代名詞の照応と一致
文法的な誤りを含む文を見てエラーを特定する形式のTOEFL ITP問題集で練習しましょう。このセクションではスピードも重要です。40問を25分で解くため、1問あたり約37秒しかありません。
無料のBuild a Sentence問題で、制限時間内に正しい文を組み立てる練習ができます。
総合的な文法復習には、TOEFL文法ガイドをご活用ください。
リーディングセクションに役立つ読解戦略
学術的な文章を日常的に読み、速度と理解力の両方を高めましょう。Scientific AmericanやNational Geographicなどの科学記事、教科書の抜粋、雑誌の特集記事は、TOEFL ITPリーディングの難易度に近い素材です。
練習では時間を計りましょう。1問あたり約1分しかないため、段落全体を読み返すことなく、効率的に読んで答えを素早く見つける必要があります。まず文章全体をざっと読んで構造を把握し、次に設問を読んでから、詳細を探して本文に戻りましょう。
読解練習と並行して、学術語彙も増やしていきましょう。頻出の語彙グループを網羅したTOEFL語彙ガイドが参考になります。
TOEFL ITP問題集や模擬試験はどこで入手できるか
公式のTOEFL ITP練習教材は、ETSおよびその認定販売代理店から入手できます。一部の教育機関は、準備プログラムの一環として模擬試験を提供しています。サードパーティの出版社からもフルレングスの模擬試験を含むTOEFL ITP問題集が出版されています。
無料の練習問題や試験対策の推薦書籍については、TOEFL模擬試験ガイドとTOEFLおすすめ参考書ガイドをご覧ください。
よくある質問
TOEFL ITPの受験料はいくらか
受験料は教育機関によって異なります。各機関が独自に費用を設定しているためです。一般的には1回あたり25〜50ドルです。これはTOEFL iBT(地域によって約200〜245ドル)に比べて大幅に安価です。正確な金額は、所属機関の試験事務局にお問い合わせください。
TOEFL ITPスコアは海外の大学入試に使えるか
使えません。TOEFL ITPスコアは、実施機関内の目的でのみ有効です。海外の大学への出願やビザ申請にはTOEFL iBTまたはIELTSが必要です。ただし、日本、インドネシア、タイ、メキシコなど一部の国の大学では、自校の入試でTOEFL ITPを認めているケースもあります。
TOEFL ITPの良いスコアとは
543以上であればCEFR B2(Silver)レベルに該当し、ほとんどの教育機関が中上級と見なします。一般的なプログラムでは477(B1中盤)を最低ラインとする大学が多く、競争率の高いプログラムでは550以上を要求されることもあります。基準は機関によって大きく異なるため、所属先の具体的な要件を確認してください。
TOEFL ITPにスピーキングセクションはあるか
標準のTOEFL ITP(Level 1およびLevel 2)にスピーキングは含まれていません。ただし、ETSは別途TOEFL ITPスピーキングテストをオプションとして提供しています。AI採点を採用しており、即時に結果が得られます。スピーキングテストを標準テストとあわせて実施するかどうかは、各教育機関が判断します。
TOEFL ITPは何回でも受験できるか
公式な受験回数の制限はありません。受験頻度は、所属機関が試験をどの程度の間隔で実施するかによって決まります。毎月実施する大学もあれば、学期に1〜2回のみ実施する大学もあります。受験するたびに新しいスコアレポートが発行されます。
TOEFL ITPの役割は明確です。教育機関に対して、信頼性が高くコスト効率のよい方法でアカデミック英語力を測定する手段を提供するものです。大学で受験を求められている場合は、リスニング、文法・語法、学術的リーディングの3つの分野に集中して対策しましょう。試験形式はわかりやすく、スコア体系は透明で、費用も抑えられています。国際的に通用するスコアが必要な場合は、TOEFL iBTやIELTSが引き続き標準的な選択肢です。
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